スポンサーサイト

--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ゼットンさんとバルタンさん Ⅶ

2010年05月19日 01:43

鳩サブレが河に置いたのは八筒だった。

マンズで放銃するイメージと、逆にソウズを狙われているのではないかという疑心暗鬼のループ。

一種の錯乱状態だ。幻覚症状と被害妄想が入り混じる。

そもそも、青島の降段戦は本当にそのような牌姿だったのか。

前局のハネ満も本当にテンパイしていたのか。

開局のハネ満も本当にあがっていたのか。

これは本当に麻雀というゲームなのか。



これは、本当に自分の眼で見ている世界なのか。


下家のバルタンの手が静かに倒された。

三萬四萬五萬一筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒九筒九筒九筒 ロン八筒














「と、こうして天鳳で不正を繰り返していた『ハイジクリーミー』は仇討ちにあったのだ、と。」

「こんなイメージビデオが不正の抑止力になるかねえ?」

「まあ、何もしないよりはマシでしょう。」

「ところで、このビデオさ、妙にリアリティがあるんだけど・・」




先ほどまでプレゼンをしていた双子と思しき二人の男は、鈍い光を湛えた目を細めた。

「フィクションですよ。フィクション・・・」
スポンサーサイト

ゼットンさんとバルタンさん Ⅵ

2010年05月18日 18:26

鳩サブレの配牌。

二萬三萬六萬八萬八筒八筒九筒四索五索五索七索七索北ドラ三萬

(・・八筒ツモ?)

八筒を引いた。

(この後・・三索四索と引いてくる?なんだ、この感覚・・?)

三索四索と引いてこの形に。
二萬三萬六萬八萬八筒八筒八筒三索四索四索五索五索七索七索


八萬切りだと、上家が
二萬三萬四萬五萬六萬八萬八萬五筒赤六筒七筒四索五索六索
からポンして受けかえて詰む・・?これは、この一局は!)

(青島の降段戦・・!上家が僕で、下家がハイジだ。そして、僕が青島・・?)

(馬鹿な、そんなことあるはずがない。ならば六萬切りは・・)

(駄目だ、下家の三萬四萬四萬五萬五萬六萬七萬二筒二筒五索赤六索七索八索につかまる?)

(しかし、テンパイは入れないとやばい。そ、そ、そ、そ、そ、ソウズを切るしかない)

四索


しかし、指から離れない。

to be continued・・

ゼットンさんとバルタンさん Ⅴ

2010年05月18日 00:25

(ちっ、薄気味悪い奴らにつけ狙われちまった。要はさっさと終わらせればいいんだ)

六萬七萬八萬二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒 チー八索横六索七索 ツモ八筒ドラ五索
ハイジが僅か5巡でツモあがった。

「クク、兄ちゃん、随分慌ててるな?」
親のゼットンが煽る。
「はっ、親を流されて悔しいんだろ?強がるなって」


ハイジは東3、東4も快調にあがりを重ね、6万点オーバーのトップ目で南入を迎えた。

「4万点以上の差ができたな。お前らのいかれた計画もご破算だ。今更許してください、はないからな」
ハイジが焦点の定まっていない目で言葉を発した。

「速攻であがればいいんだ。速攻速攻速攻速攻速攻速攻速攻速攻速攻」

南1局、鳩サブレの親番。

バルタンがツモった牌をラシャに押し付けた。
二萬三萬四萬四筒四筒四筒六索六索六索七索南南南 ツモ八索ドラ南

マンガンのアガリだ。それはいい。
2巡前にハイジから出た七索を見逃している。

(トップ目からのハネ直を見逃し・・?)

理由は一つしかない。トップを狙うのではなく、東パツに12000を打った鳩サブレを飛ばす戦略に出たのだ。

(今、僕は4500点しかない。くそっ、なめやがって・・)

次局の鳩サブレの配牌。

二萬六筒二索三索四索五索六索六索七索白白發發ドラ五索

(やった!この手をあがれればいける!)

白五索と引いて6巡目に

二索三索四索五索五索六索六索七索白白白發發

のテンパイ。
(ハイジ!差し込め!これをあがれば僕達の勝利だ)

鳩サブレが祈るように見つめたハイジのツモ牌は、そのまま表に向けられ、卓のヘリに叩きつけられた。

七萬八萬九萬六筒七筒八筒一索一索四索五索六索南南 ツモ一索

「700・1300!速攻っ!」
得意げな顔のハイジ。鳩サブレの顔がみるみる内に赤黒く変色した。

「馬鹿な!そんな手をあがって何になる!僕はハネマンテンパイだぞ!差し込めよ!飛んだら負けなんだぞ!
僕のこのハネマンテンパイに気づいていないのか!なんて下手糞なんだ!僕の僕の僕の僕の僕の僕の僕の」


ゼットンが吹き出した。
「ははは、ゴールデンペアもこれまでか。鳩サブレはこれで3800点。3900を打ったらゲームセットだな」

鳩サブレは肩で息をしている。



南3局。


to be continued・・

ゼットンさんとバルタンさん Ⅳ

2010年05月17日 18:06

「なぜ、僕たちのことを狙うんだ」
鳩サブレはやや落ち着きを取り戻している。

「『街金青島君』って天鳳プレイヤーを知ってるでしょ?」

「それがどうしたってんだ!」
ハイジが凄惨な声で叫んだ。

「あなたたちは、彼の配信を盗み見て、不正なコンビ打ちを繰り返し、ptを根こそぎ奪った」

「・・」

「『街金青島君』は、僕たちの親父なんですよ。優しい親父だったんですよ。
ギャンブルもしない、酒もたばこもしない、そんな親父の唯一の趣味がネット麻雀だった」

「天鳳位になることが、生き甲斐と言っても過言ではなかった。それが、お前らのせいで・・」

「九段に降段した親父は、プレイヤーとしては終わっていました。しかし、その憎悪の心は燃え盛る一方でした。」

「そこで、俺達を後継者として鍛え上げた」



「俺達を狙う動機はわかった。だが、なぜ右眼なんだ?」
生温かいものを飲み込みながら尋ねる。

「見えないものを見ろ、ってのが親父の口癖でね」

「?」

「柳生十兵衛って知ってるだろ?」

「馬鹿げた話なんですよ。でもね、『両目じゃ見えないものがある』なんて言って・・」

「ま、まさか!目を!」

「くく、だから仮面舞踏会って形式にしたんですよ。こうでもしないと、気持ち悪がって寄ってきやしない」



「狂ってやがる・・」
ハイジは消え入りそうな声を漏らした。

「さあ、麻雀を続けようぜ。まだ東2局だ」
ゼットンは楽しげにサイコロボタンに手を伸ばした。

to be continued・・

ゼットンさんとバルタンさん Ⅲ

2010年05月17日 00:00

「やめておきなさい。つまらないハッタリは男を下げるよ」
鳩サブレは諭すように言った。

ゼットンのお面は、懐から黒いプラスチックのケースを取り出し、鳩サブレに放り投げた。

「開けてみな」

ケースを振ると、球体の何かがゴロゴロ、と音をたてる。
うわっ、とケースを取り落とした。

「あはは、びびってら」
ゼットンのお面は、無邪気に笑った。

「受けてくれますよね?この差し馬」
「ば、馬鹿馬鹿しい。受けてたまるか」


「駄目ですよ」
バルタン星人のお面が、妙に甲高い声を発した。

「駄目?」
「駄目ですよ。こんなに人がいるんですから。」



こんなに人がいる。

「ハイジクリーミー」の二人は、その意味が理解できるまでに少しの時間を要した。
そして、ゆっくりと周りを見回し、喉に張り付いた声を引き剥がした。

「この大会は・・」



ゼットンのお面は、なおも楽しそうに笑っている。

to be continued・・


最新記事


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。